コソボのことで、周囲の人から必ずといっていいほど聞かれる質問。それは、「コソボでは何食べるの?」
食へのこだわりが強い日本と違って、コソボでは、だいたいどの家庭でも高頻度でお決まりのものを食べます。そう、それは伝統料理。コソボでは、昼食や夕食に伝統料理をドーーンと焼いてみんなで食べるんです。
ということで、何回かに分け伝統料理の紹介をしていきたいと思います。
伝統料理の王「ピテ」
第1回目は、「ピテ(pite)」をご紹介します。ピテといえば、コソボの伝統料理の二大巨頭の一角。(独断)
いくつかの伝統料理は、単にピテから派生したものに過ぎないのではないか?という疑問すらわくほどの、伝統料理の中の伝統料理であり、最も頻繁に食卓に上る伝統料理の王です。
「うずまき型」か「包み込み型」か
ピテは、主に小麦粉と水から成る生地をうすーーーく伸ばして、具材を包んで焼いたもの。
どのぐらい薄く伸ばすかというと、このぐらいです。
具材を包んだ最終形態としては、うずまき型と包み込み型の二つの形状があります。
左がうずまき型、右が包み込み型
パイのような食感で腹持ちバツグン
ピテは、薄く伸ばした生地に油を塗って重ねて焼くので、パイのような層ができます。
具材御三家は、ほうれん草、チーズ、ひき肉
ピテの具材ですが、大抵の家でほうれん草、チーズ、牛ひき肉の3つをローテーションで回していると思います。外で食べるときも、だいたいこの三つから選びます。
あとは、季節限定でカボチャのピテとかもありますが、甘くて私はあんまり好きじゃないし、苦い思い出があるのです。
あれは昼食にカボチャのピテを初めて食べた日のことでした…。夜に原因不明の胃腸炎にかかって嘔吐が止まらなくなった私は、タクシーで病院に行ったのです。
そこで、医者に「今日何食べた?」と聞かれ、「カボチャのピテ」と答えた私。それを聞いた医者と看護師から爆笑された上に「そんなコソボっぽいもの食べるからだよ~」と言われ、謎の注射をお尻の下に打たれて帰されました。
もちろん症状は改善しませんでした。もう10年以上前の話ですが、私はまだ恨んでいます。
家で食べればピテ、外で食べればビュレック?
ちなみに、ピテはビュレック(またはブレック)とも呼ばれます。なんとなく、家で食べるのはピテ、外で食べるのはビュレックという感じで呼び分けています。
コソボは、歴史的にトルコの影響を強く受けている国です。ピテのルーツは、おそらくトルコの伝統料理である「ボレギ」と「ピデ」じゃないかと思います。
実は私は食べたことないんですが、レシピを見ていると味はけっこう似ているんじゃないかな〜という印象です。日本のトルコ料理レストランでも食べられるので、気になる方はお試しを!
連日のピテは重いが月に1回は食べたい
大抵の伝統料理はそうですが、ピテは作るのけっこうめんどくさいです。そしてすごい汚れます。粉だらけになります。
コソボではオーブンが大きいので、作るときはボーーーンとでっかいサイズで作って(直径50センチくらいかな)焼きます。
そして昼食のピテの残りは、たいていその日の夜ご飯にも食べます。さらにその翌日もピテのときがあります。
頻繁に食べればなかなか重く、もうピテはいいよ…てなっちゃうんですが、しばらく食べてないと「あーーーピテーーピテ食いてーー」となるんですよね。理想は月1~2回かな。
最近はめんどくさくて作ってませんが(作業スペースが粉だらけになる)、私も家でたまに焼いてます。ああ、久々に食べたくなっちゃった~。