青地に金色でかたどられた地形と、その上に白い星が6つ。コソボの国旗は、2018年2月17日、コソボが独立した日に制定されました。この6つの白い星は何を意味していると思いますか?コソボの国旗に込められた思いを紹介します。
主要な民族を表す6つの星
コソボは、人口の9割以上をアルバニア人が占めています。次いで5%ほどを占めるのがセルビア人、その他にトルコ人、ロマ、ゴーラ人、ボシュニャク人などが居住しています。
実は、6つある白い星が表すのは、コソボの主要民族なのです。つまり、それぞれの星は、アルバニア人、セルビア人、トルコ人、ロマ、ゴーラ人、ボシュニャク人ということになります。
簡単な説明になりますが、ボシュニャク人はセルビア人と同じ南スラヴ系で、イスラム教を信奉している人々です。ゴーラ人は、定義がとても難しくて一言で説明できない上、私もあまり詳しくないのですが(ゴーラ人の友人もいるのに…)、独自の言語と文化を持った人々です(しょぼい説明ですみません)。ロマはご存じの方は多いかと思いますが、以前はジプシーと呼ばれていた人々ですね。インドにルーツがあると考えられており、ヨーロッパ各地に居住しています。
これらの民族を表すデザインを採用したことで、コソボは自らが多民族国家であり、民主主義国家であることを内外に示したということになります。
国旗に不満がある人も
ただ、まだまだ紛争の傷が癒えぬ段階での独立だったため、すべての人々の希望どおりのデザインが選ばれたわけではありません。
国旗のデザインを公募した際には、ほとんどの応募作品がアルバニアの国旗をなぞらえたものだったそうです。私もアルバニア人の知人から、アルバニアのシンボルである双頭の鷲が入ったものが良かったという声はよく聞きました。
ほとんどのアルバニア人は新しい国旗を受け入れていますが、コソボの国旗と共にアルバニアの国旗を掲げる人は大勢います。
また、セルビア人の中には、セルビアの国旗こそ自分たちの国旗だと捉えている人も多くいます。
未来へはためくコソボの国旗
この場所で何があったかを考えるならば、国旗に対して様々な思いがあるのは仕方のないことでしょう。だけど、私はコソボの国旗のデザインも、それに込められた意味もすごく素敵だと思っています。初めて国旗を見て、その意味を知ったときの感動は忘れられません。
コソボは特定の民族の国家ではなくて、そこに住むすべての人の国。これは確かに理想論であり、民族の和解という観点では、現状が追いついていない面があるのは重々承知ですが、私たち外部の人間ができること、すべきことは信じることだと思っています。
コソボの国旗は、コソボの人々がこれから新たな道を歩んでいくことを示す、本当に美しい旗です。